【ツエーゲン金沢】2017シーズン前半戦総括

ツエーゲン金沢は、第21節の横浜FC戦を勝利で終え、リーグ戦を折り返しました。
前半最終成績は下記の通り。

順位勝点得失点得点失点
17257410-122335

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☆総括☆

 2016年シーズン、入れ替え戦で辛くも残留を決めたツエーゲン金沢。5年間続いた森下監督と惜別し、新たに監督経験豊富な柳下正明の招聘に成功。本部長にこれまた経験豊富な和田昌裕を迎え、2017年より新体制がスタートしました。
 柳下監督が目指すサッカーは「アクションサッカー」。全員に求められるハードワークとマンツーマンディフェンスで主導権を握るサッカーです。森下金沢ではゾーンによるソリッドな守備構築で相手を跳ね返し、カウンター(2016シーズン最初はポゼッションサッカーを目指していましたが)で得点を目指すサッカーとは180°に近い方向転換ですね。また、1試合を通した運動量が求められる為、若手を積極的に起用した点も大きな違いでした。

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 開幕戦のメンバーをみれば、昨年のツエーゲン金沢を支えた中美選手と山崎選手が怪我で出遅れたことを抜きにしても、積極的に若手含めた新加入選手を起用していることが分かります。その中でも、サポーターの驚きの中心はボランチとGKにあったと思います。秋葉選手の完全移籍により、再結成が叶った山藤、秋葉のボランチコンビは実現されず、J3時代から絶対的守護神として君臨していた原田(欽)選手が控えになったからです。一方、元々運動量と攻撃の組み立てに定評のあった大槻選手と昨季終盤、サイドバックからボランチにコンバートされ中盤で潰し役を担っていた小柳選手が選出されたのは納得がいきますね。
 さて開幕戦を新加入GK・白井選手のミスで落とすと、5試合勝ちなしの状況が続きます。マンツーマンディフェンスにして、金沢自身の4-4-2とミスマッチが起きる、3バックとの対戦が4試合も続いたこともあり、戦術浸透度の浅さが結果として正直に出たスタートでした。その中で、昇格候補筆頭の湘南とミラーゲームを持ち込み善戦するなど明るい材料もありました。



 問題点は皆さん思うところがあるでしょうが、私は以下のものを挙げます。
①最終ラインからの展開の精度が低い。
②マークの受け渡しをミスするとCB陣のスピード不足が露呈する。
③長身ながらも空中戦より足元に欲しがる佐藤を生かせない。
④そもそもフィニッシャーがいない。

 まず①。開幕当初、奪ってから縦に早いサッカーを目指すため、サイドバックをはじめとした最終ラインから質の低いロングボールが頻発していました。最終ラインからロングパスといえば太田選手が思い浮かびますが、今年は奪った選手がそのまま真っ先に縦へと展開します。森下金沢では、まずボランチ(山藤選手、秋葉選手)や熊谷アンドリュー選手(現ジェフユナイテッド千葉)といった展開力の高い選手にボールを託すか、太田選手のような精度の高いロングボールを蹴ることができる選手からターゲットマンにパスするのが中心でしたので、このようなことはあまり見られませんでした。しかし、本来は突破力や追い越す動きが主となる野田選手や石田選手からのパスはアタッキングサードのサイド側を狙う意図は見えるものの、成就することは少なく、前へボール放り込むものに近くみえました。

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 ②。これは戦術浸透度の問題もありますが、元々対人、空中戦に強いタイプのCBを揃えたツエーゲン金沢。その為、スピード不足は否めませんでしたし、実際裏を突破され得点を許したケースは多々あります。1トップ2シャドーの相手が続いた開幕当初は、只でさえ数的不利の状況を作られ、加えて裏に抜け出されると追い付けないため、何度もピンチを迎えました。ボランチの小柳選手をCBに吸収させ、相手の攻撃へのケアを図るも、これでもマークの受け渡しは上手くいかず、結果中央が人で膨れるような形となってしまいました。またサイドハーフからサイドバックも同様で、クロスへのチェックに誰も行かず、気持ちよくクロスを上げらる状況が散見されました。

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 次に③ですが、ツエーゲン金沢の長身CFといえば、去年までで言えば水永選手(現ギラヴァンツ北九州)です。敵陣空中戦回数がJ2でも屈指で、まさにポストプレーヤーでした。しかし、新加入の佐藤選手は身長はさほど水永選手と変わりませんが、プレースタイルは幾分違った選手に思えます。勿論、体の入れ方や空中戦を挑むタイミングは上手いのですが、どちらかといえば相手の嫌がるスペースへ移動し、足元に欲しがるタイプの選手です。これは①にも関わってくることですが、空中戦を期待するボールは幾らかアバウトなボールで許されることはありますが、スペースへのボールであるとある程度の精度が要求されます。
 ④にも続きますが、佐藤選手はスペースへ流れることから、時としてチャンスメーカーにもなりクロッサーにもなります。しかし、CFである佐藤選手がサイドへ流れれば中央が希薄になることは明白です。また、どうしても守備のこともあり、前への推進力をボランチやサイドバックが控えてしまい、結果決定力のない攻撃が続いてしまいました。

 さて、経験の足りない若手の積極起用と去年とガラリと変わった戦術、残念な斬新な姿で生まれ変わった我らがアイドル・ゲンゾーに戸惑いを隠せないサポーターを安心させた今季初勝利は、”裏天王山”と謳われたザスパクサツ群馬戦。故障明けでチームに合流した10番・中美選手が2得点の活躍で未勝利対決を制したツエーゲン金沢は、次節のファジーノ岡山戦でも勝利し9か月ぶりの連勝となりました。
 それでも監督が目指すサッカーにはまだまだ遠く、そこから4連敗を喫するなど苦しい時期を再度過ごすことになります。12節のジェフユナイテッド千葉戦ではお互い退場者を出すなど、オープンな展開となり運も味方し勝利することができましたが、その後の福岡松本戦では守備が全く機能せず、2試合で9失点。マンツーマン戦術が今一度議論の的となりました。
 しかし、意外にもチームの風向きを変えたのは直後の第17節の名古屋グランパス戦でした。相手のミスによる得点とラッキーな部分があったにしろ、積極的にボールを奪いにいく姿勢は相手を圧倒し、下位に沈んでいたチームが堂々と上位に勝利しました。その代償として”気持ちの入っているプレーが見られなかった”カマタマーレ讃岐戦を落としたものの、その後の山口京都横浜と苦手な相手を含め3連勝で前半戦を終了することができました。夏までに戦術浸透をある程度済ませ、チームが勝てるようにすると明言していた柳下監督の言葉そのままとなりました。

 後半戦へ向け、私が気になっている点をいくつか。
①ミドルの精度の高さ。
②引いた相手に対する処置。
③控え選手の結果。
 ①は主にボランチ向けなんですが、とにかくミドルが枠内へいかず相手の脅威となっていないのが現状です。秋葉選手が交代で入るとやはり違うなと思わせてくれるのですが、ファーストチョイスは大橋選手です。横浜FCとの天皇杯で嬉しいプロ初ゴールを決めた大橋選手ですが、勢いそのままにリーグ戦でも目の覚めるような一発を期待しています。
 次に②です。前半戦は下位であるツエーゲン金沢に対して前掛かりになった相手に対して、効果的に得点を重ね勝利してきました。しかし、2周目となると相手に対策され、敢えて前掛かりにならずじっくりと攻撃されることが多くなるでしょう。ボール奪取の起点をチームとして共有しなければなりません。また金沢の攻撃時も相手の引いた守備に対して、誰がどこでしかけるのか、1試合を通じたプランをもって挑むことになるでしょう。ここで活きてくるのは、ワンダーボーイとして金沢快進撃の主役となった15番・宮崎選手のような個で打開できる選手です。前線のタレントは金沢旋風を巻き起こした2015年を上回っていると思いますので後半戦も期待しています。
 最後に③。夏場に入り、ベンチワークも重要なカギとなります。しかしながら、交代で入った選手が効果的になったケースは多くありません。垣田選手、金子選手、山崎選手と好調であればスタメンであってもおかしくない選手が控えにいますが、特に垣田選手にはとても高いポテンシャルを感じますので、早くツエーゲンでの初得点を挙げ、残る後半戦を暴れて欲しいです。

 最後に他シーズンとの比較です。”金沢旋風”と呼ばれた2015年と”2年目のジンクス”を素直に受け取った2016シーズンの丁度中間ぐらいですね。2015年は初代J3王者の看板を引っ提げて怖いものなしの勢いを感じましたし、雑草魂のような粘り強さも感じました。今年は戦術が浸透してきてからは、良いサッカー、上手いサッカーをしているなと感じる場面が多々あります。若手が多く荒削りな部分もありますが、勝点僅差に十数チームがひしめく大混戦のJ2。再び台風の目になるのではないかと期待しています。
 2周目の厳しさは2015年に嫌というほど感じました。勝てない苦しさは2016年に嫌というほど感じました。しかし、だからこそ後半戦どんな状況になろうとも応援し続けるし、そう思うサポーターは多いはずです。今年も最後までしっかり応援していきましょう。

2017前半順位推移
2017順位勝点数値


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